学生起業時に検討すべき問題点
経営
学生起業!その前に確認しよう。
後々問題になることも
-新卒入社を考えるとき-
経営
- 2015.09.17 -
学生起業の問題・懸念事項
学生起業がし易い環境が整ってきています。
SNSによる情報共有や若者創業支援制度、クラウドファンディング、産官学連携事業。
株式会社の最低資本金額制度撤廃、エンジェル税制。
いずれも創業を後押ししますが、反面問題が発生する場面もあります。
以下では、新卒採用時に予測される問題について考えてみます。
法的・経済的な問題について
取締役の競業避止義務
株式会社の取締役には、競業避止義務という義務が課せられています。
簡単に言えば、「自己の会社と同業種の会社のために働いてはいけませんよ」というものです。
例えば、学生起業でバイオベンチャーの取締役(A社)に就任したとします。
当然、就職活動ではそのスキルを活かせる分野を選考すると思います。
仮にB社から内定を貰ったとしましょう。
しかし、同業種であるB社への就職は原則不可です。
なぜなら、B社で仕事することで、A社の内部情報が利用されたり利益を侵害する恐れがあるからです。
取締役の義務と責任
取締役は、会社に対して善良なる管理者及び忠実なる者としての義務と責任を負います。
場合によっては、株主または第三者に対し、損害賠償責任を負う可能性もあります。
学生とはいえ、放漫経営は許されません。
それは、自社の従業員への管理監督という意味でも同じです。
社会保険料コストの負担
会社を設立した場合、社会保険に加入する必要があります。
通常学生であれば、アルバイトのため社会保険上親の扶養に入ることも多いでしょう。
この場合は、自身で社会保険料を支払う必要がありません。
しかし、会社を設立し、常勤取締役として就任するならば、社会保険料が発生します。
仮に、月10万円の役員報酬を得た場合、社会保険料は月額38千円(※)です。
(※平成27年9月分、岡山の場合。会社負担分を含む)
また、給与計算等の総務・事務コストの問題も発生します。
新卒入社先会社の就業規則
会社によっては、就業規則で兼業を禁止している場合もあります。
上記例で言えば、月~金にB社、土日にA社で働くようなケースです。
これに該当する場合、当然B社への新卒採用は見送られるでしょう。
場合によっては、内定取り消しや、入社後、問題発覚により解雇もあるかもしれません。
また、会社設立したは良いが、後継者がおらず、新卒入社と同時にA社解散、となるかもしれません。
学生起業の是非について
上記にて学生起業における問題点を見てきました。
しかし、決して学生起業を否定しているわけではありません。
むしろ、若者の特権として推奨されるべきだと思います。
ただ、無知で起業するより、ある程度の社会知識を得た上での方が得策だということです。
ビジネスのコアとなる部分は自身のスキルを多いに活用する。
法的・経済的問題については、先輩・専門家の知恵と力を借りる。
これが、学生起業における成功の秘訣かもしれません。
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